高血圧
高血圧は、血管の壁に強い圧力がかかり続ける状態で、多くの場合で自覚症状がないまま進行します。しかし、放置すると脳卒中や心不全、腎臓病などの深刻な合併症を招くことから「サイレントキラー(静かなる殺し屋)」とも呼ばれています。当院では単に数値を下げるだけでなく、患者さんお一人おひとりの生活背景に配慮した丁寧な診療を心がけています。
当院では、診察室で測定する血圧だけでなく、ご自宅で日々測定する「家庭血圧」も大切にしています。血圧は時間帯や環境によって変動するため、ご家庭での測定結果も確認しながら、普段の血圧の状態を把握し、治療や生活習慣の見直しにつなげていきます。
また、必要に応じて24時間血圧計(ABPM)を使用し、日中や夜間を含めた血圧の変動を詳しく確認することもあります。診察室では高くなる「白衣高血圧」や、診察室では正常でも自宅や夜間などで血圧が高くなる「仮面高血圧」の把握にも役立てています。血圧が気になり始めた方は、どうぞお気軽にご相談ください。
高血圧の症状について
高血圧は、多くの場合で自覚症状が現れません。健康診断で数値の異常を指摘されて初めて気づく方がほとんどです。しかし、血圧が著しく高い場合や、急激に血圧が上昇した場合には、体にいくつかの変化が現れることがあります。これらの兆候を見逃さないことが、早期の対策へとつながります。
日常的に起こりやすい変化
血圧が高い状態が続くと、脳の血管に負荷がかかり、以下のような症状を感じることがあります。ただし、これらは高血圧特有のものではなく、疲れや風邪など他の原因でも起こりうるため注意が必要です。
- 後頭部を中心とした重苦しい頭痛
- 肩こりや首筋の張り
- めまいや耳鳴り
- 動悸や息切れ
心臓の動きに関連する動悸や息切れについては、循環器疾患の可能性も考慮する必要があります。動悸が気になる方は、当院の「不整脈・動悸」のページも併せて参照してください。
合併症が進んだときに出る症状
血圧が高い状態を何年も放置してしまうと、血管がボロボロになる「動脈硬化」が進みます。その結果、心臓や脳、腎臓などにダメージが及び、手足のしびれ、むくみ、視力の低下といった症状が現れることがあります。こうした段階になる前に、血圧の管理を始めることが健康な未来を守るために非常に重要です。
高血圧の原因について
高血圧の原因は、大きく分けて2つのパターンがあります。1つは生活習慣や体質が複雑に絡み合って起こるもの、もう1つは他の病気が原因で血圧が上がるものです。日本では、約9割の患者さんが生活習慣に関連するタイプだと言われています。
生活習慣による要因
日々の積み重ねが血管に負担をかけ、徐々に血圧を押し上げていきます。特に日本人に多いとされる原因は以下の通りです。
- 塩分の摂りすぎ(塩辛い食事や加工食品の多用)
- 肥満(特に内臓脂肪型肥満)
- 過度な飲酒習慣
- 運動不足による血管の柔軟性低下
- 喫煙による血管の収縮
- 精神的なストレスや睡眠不足
特に喫煙は血管を強く収縮させ、血圧管理の大きな妨げになります。禁煙を検討されている方は、当院の「禁煙外来」のページをご覧ください。専門的なサポートにより、無理のない禁煙をお手伝いします。
遺伝的要因と環境
ご家族に高血圧の方がいる場合、体質的に血圧が上がりやすい傾向を受け継いでいる可能性があります。また、家族は似たような味付けの食事を摂る「環境的な要因」も共有しているため、血圧が高くなりやすい傾向があります。若いうちから血圧が高めの方は、早めの対策が有効です。
高血圧の病気の種類について
医学的には、原因が特定できるかどうかによって「本態性高血圧」と「二次性高血圧」の2種類に分類されます。また、測定するタイミングや場所によって分類されることもあります。
本態性高血圧
日本人の高血圧の大部分を占めるのがこのタイプです。特定の原因となる病気があるわけではなく、遺伝的な体質に加え、塩分摂取、肥満、加齢といった様々な要因が組み合わさって発症します。生活習慣の改善が治療の柱となります。
二次性高血圧
腎臓の病気や、ホルモンの異常、血管の異常など、特定の原因があって血圧が上がるタイプです。若い世代で急に血圧が上がった場合などは、この可能性を疑います。原因となっている病気を治療することで、血圧が改善することが期待できます。当院では丁寧な問診と検査を行い、こうした隠れた原因を見逃さないよう努めています。
測定状況による分類
血圧は常に変動しているため、一度の測定だけでは正確な判断ができません。当院では以下のパターンにも注目しています。
- 白衣高血圧・・医療機関で測定したときだけ、緊張して高くなる状態
- 仮面高血圧・・診察室では正常なのに、自宅や職場では高い状態
- 夜間高血圧・・就寝中に血圧が下がらず、高いまま維持される状態
これらの中でも「仮面高血圧」や「夜間高血圧」は、脳血管障害のリスクが高いことが知られています。当院の24時間血圧計は、こうした隠れた高血圧を見つけるために非常に有用なツールです。
高血圧の治療法について
高血圧の治療のゴールは、単に数値を下げることではありません。将来起こりうる脳卒中や心疾患などの重大な病気を防ぐことが目的です。木村内科では、生活習慣の修正と薬物療法をバランスよく組み合わせて提案いたします。
生活習慣の改善(非薬物療法)
どのようなタイプの高血圧であっても、まず取り組むべきは生活の改善です。これだけで血圧が十分に下がる患者さんもいらっしゃいます。具体的には以下の点に取り組みます。
- 減塩(1日6g未満を目指す)
- 野菜や果物を積極的に摂る(カリウムの摂取)
- 適正体重の維持(BMI 25未満を目指す)
- 適度な運動(ウォーキングなどの有酸素運動を毎日30分程度)
- 節酒と禁煙
当院では「インボディ」による体組成の測定を行い、筋肉量や脂肪の付き方を可視化することで、より具体的な生活改善のご提案をしています。無理のない範囲で、一緒に取り組んでいきましょう。
薬物療法
生活習慣の改善だけでは十分に血圧が下がらない場合、お薬(降圧薬)の力を借ります。現在は非常に多くの種類の降圧薬があり、患者さんの年齢、合併症の有無、体質に合わせて選択します。一度飲み始めたら一生やめられないというわけではなく、生活習慣が改善されれば減薬や休薬ができる場合もあります。
CureApp HTを用いた高血圧治療
CureApp HTは、高血圧の治療をサポートするために医師が処方する治療用アプリです。一般的な健康管理アプリとは異なり、医療機器として承認されており、一定の条件を満たす場合には保険診療で使用できます。
患者さんにはスマートフォンを使って、日々の血圧や生活習慣などの情報を記録していただきます。アプリから一人ひとりの状況に応じた生活習慣の改善に関する情報が提供され、食事や運動、睡眠などを見直しながら高血圧の治療に取り組んでいきます。
※すべての高血圧の患者さんに使用するものではありません。当院では、これまでの治療内容などを確認したうえで、医師がCureApp HTによる治療が適しているかどうかを判断します。
高血圧は糖尿病を合併することも多く、その場合はさらに厳格な管理が必要になります。糖尿病についての詳細は「糖尿病」のページをご参照ください。
高血圧についてのよくある質問
Q1. 血圧はいくつからが高いと言われるのですか?
A1. 一般的に診察室での測定では「140/90mmHg以上」、家庭での測定では「135/85mmHg以上」が高血圧と診断されます。ただし、糖尿病や腎臓病がある方、ご高齢の方など、それぞれの患者さんの状態によって目標値は異なります。
Q2. 血圧の薬を飲み始めると、ずっと続けなければなりませんか?
A2. 多くの場合は継続が必要ですが、減塩や運動、減量によって血圧が安定すれば、お薬の量を減らしたり、中止したりできる可能性もあります。自己判断で中断するのが最も危険ですので、必ず医師と相談しながら調整しましょう。
Q3. 家での血圧測定はいつ行えばよいですか?
A3. 原則として「朝の起床後」と「晩の就寝前」の1日2回、座って安静にした状態で測ることをおすすめしています。毎日同じ条件で測ることで、ご自身の血圧の変化の傾向が見えてきます。
院長より
高血圧は命に関わる重大な病気の入り口ですが、早期に適切に管理すれば、何も恐れることはありません。私たちは「お一人おひとりの声にしっかり耳を傾ける診療」を大切にしています。
特に高血圧の治療は、毎日の生活と密接に関わっています。「食事制限がつらい」「運動の時間が取れない」といったお悩みも、ぜひ遠慮なくお聞かせください。患者さんのライフスタイルに合わせた、無理のない計画を一緒に考えさせていただきます。また、当院では女性医師が在籍しておりますので、更年期に伴う血圧の変化など、男性医師には相談しづらい繊細なお悩みにも寄り添うことが可能です。更年期の変化については「更年期」のページも参考になさってください。
血圧計の数値が少し高くて不安を感じている方、健康診断で指摘を受けた方、あるいは長年薬を飲んでいるけれど相談したいことがある方。どのような些細なことでも構いません。英賀保駅から歩いてすぐの場所にありますので、お買い物のついでや、お仕事帰りなどにお立ち寄りください。地域の皆さんの「健やかな毎日」を全力でサポートしてまいります。
